1. なぜいま「再設計」が求められているのか?
昨今の組織では、「やらされ感」を抱えたまま働く社員と、「思うように動かない」と嘆く管理職の間に、**“目に見えないミスマッチ”**が生まれています。その多くは、「責任と権限の不一致」によるものです。
- 指示は出すが決裁権はない
- 責任は負うが情報共有はない
- 成果は求めるが育成は任せきり
このような組織設計のままでは、自律も創造性も育ちません。ルール・評価・育成の全体構造を見直すことが急務です。
2. 評価制度:プロセスに光を当てる
責任を持たせたいのに、「評価は“結果だけ”」では、誰も手を挙げません。
現状評価 | 改善の視点 |
---|---|
売上・達成率中心 | 過程・工夫・行動を記録し評価 |
一発勝負型 | 小さなチャレンジを積み重ねて評価 |
上長が一方的に評価 | 相互フィードバック型(1on1や自己評価) |
努力や失敗、学びの軌跡に価値を置く評価軸を組み込むことで、社員は「やってみる」ことの意味を実感できます。
3. 権限構造:全員に“意思決定の窓”を
「任せる=丸投げ」ではありません。
「権限の共有=判断の土台の共有」です。
【権限の可視化ステップ】
- チームで扱う意思決定項目を洗い出す
- それぞれの意思決定に対して「誰が」「どの範囲で」判断できるかを明文化
- 権限範囲にグラデーションを持たせる
(例:提案 → 仮決定 → 決裁 という3段階フロー)
社員の「ここまでは判断していい」という心理的な安全領域が、行動を加速させます。
4. 育成文化:「言われなくても動く人」は育てられるのか?
結論から言えば、育てられます。
ただし、それは “放置”ではなく“見守る”という設計によって、です。
- 行動を促す問いかけ(What/Why)
- 小さな成功の承認
- 自己理解を深める対話(コーチング)
このような日々の関わりの中で、社員の中に「考える習慣」が生まれ、自ら“判断し、動く”力が育ちます。
5. 全体構造の見直しは、“文化”の再設計
責任と権限は、単なる「制度設計」ではありません。
その根底には、「人をどう見るか」という組織観が現れます。
- 信じる → 任せる → 育つ
- 疑う → 抱える → 縮む
このどちらの循環を選ぶかで、組織の未来は変わります。
6. 再設計チェックリスト(抜粋)
項目 | Yes/No |
---|---|
職位ごとの裁量範囲が明文化されているか? | □ |
評価に行動やプロセスが含まれているか? | □ |
部下に意思決定の機会を与えているか? | □ |
振り返りの機会(1on1など)が定期的にあるか? | □ |
管理職は“手放す訓練”を受けているか? | □ |
7. まとめ:責任と権限は、“未来の伸びしろ”を育てる装置
「任せたらラクになる」ではありません。
「任せることで、可能性が広がる」のです。
責任と権限の設計は、組織の骨格を決める作業です。
そして、それは 「人の力を信じられるか」 という問いへの答えでもあります。
本シリーズ最終回ですので、各回の概要をまとめました
気になる回はアーカイブからいつでも見直せます。皆様のお役に立てたら幸いです
回 | タイトル | 概要 |
---|---|---|
第1回 | 責任だけ重く、権限なしの現実 | 管理職・現場のジレンマに注目 |
第2回 | 立場別の責任と権限グラデーション | 役割に応じた適正な権限付与とは |
第3回 | 職位の曖昧さとジョブディスクリプション | 組織内ルールの見える化 |
第4回 | 権限移譲の壁と組織の心理構造 | 管理職・部下の心理的ブロック |
第5回 | 再設計と自律組織への転換 | 権限と責任の再構築ロードマップ |
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